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インバータ・省エネモーターの補助金2026【SII対象設備・補助額の計算法・申請手順】

この記事の結論

インバータ・省エネモーターは2026年度の省エネ・非化石転換補助金(SII)の補助対象設備です。設備単位型(Ⅲ事業)では、中小企業の補助率は原則1/2(条件により2/3)、補助下限額は50万円。インバータは「型番登録なしの個別申請」方式で、圧縮機(コンプレッサー)を除く産業用モーター(ポンプ・送風機・モーター単体)はIE3以上を満たす製品なら申請可能です。回転数を80%に落とすだけで消費電力が約50%削減できる省エネ効果の高さが特徴で、導入費用50〜500万円に対し補助後の実質負担を25〜250万円程度に圧縮できます。2次公募は2026年6月1日〜7月9日(予定)。本記事では対象設備の要件・補助額の計算法・業種別シミュレーション・申請7ステップ・FAQ10問を完全収録しています。申請前に必ず最新の公式公募要領をご確認ください。

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インバータ・省エネモーターとは?省エネ補助金で狙われる理由

インバータとは、電力の周波数と電圧を自在に変換してモーターの回転速度を無段階に制御する装置です。従来のダンパ(絞り弁)やバルブによる流量調節では、モーターを常に定格回転数で回しながら「絞る」ことでエネルギーを無駄に熱として捨てていました。インバータを導入することで、負荷に応じた必要な回転数でモーターを回すことが可能になり、劇的な省エネ効果を生みます。

省エネモーター(高効率モーター)とは、IEC(国際電気標準会議)が定めるエネルギー効率等級においてIE3(プレミアム効率)以上を満たすモーターを指します。従来の標準モーター(IE1)と比べてモーター自体の効率が高く、同じ出力でも消費電力が少ない設計になっています。

インバータが省エネになる物理的理由

モーターが駆動するファン・ポンプの消費電力は回転数の3乗に比例します(相似則)。例えば回転数を100%から80%に落とすと、消費電力は 0.8³ = 0.512 となり、約50%削減できます。回転数を60%に落とすと 0.6³ = 0.216 で約78%削減。わずかな回転数の低下が消費電力の大幅削減につながるのがインバータ省エネの本質です(出典:J-Net21 省エネQ&A)。

なぜ今、インバータ・省エネモーターに補助金が集中するのか

日本の産業部門が消費する電力のうち、約70%はモーターが占めるとされています(資源エネルギー庁調査)。工場の空調・ポンプ・コンプレッサー・搬送設備など、あらゆる製造現場でモーターが使われているためです。このモーターの多くが旧式の誘導モーター(IE1相当)で、インバータ制御も行われていない場合、大量のエネルギーが無駄に消費されています。

2026年度の省エネ・非化石転換補助金では、インバータ・省エネモーターを設備単位型(Ⅲ事業)の補助対象設備に明確に位置づけており、中小企業・製造業が最も手を付けやすい省エネ投資として積極的に推奨されています。

設備種別モーター消費の代表的用途インバータ効果(目安)
ポンプ(給水・排水・循環)工場・病院・ビル・農業電力30〜70%削減
送風機・ファン(空調・換気)製造業・倉庫・商業施設電力30〜60%削減
コンプレッサー(空気圧縮)製造業・自動車・食品電力15〜40%削減
搬送設備・コンベア物流・食品・化学電力20〜50%削減
工作機械・プレス機金属加工・プレス工場電力10〜30%削減

2026年度のインバータ・モーター補助金制度マップ【国・自治体・SIIの全体像】

2026年度にインバータ・省エネモーターの導入に活用できる主な補助金を一覧で整理します。制度ごとに対象範囲・補助率・審査の難易度が異なるため、自社の状況に合わせて選択することが重要です。

制度名補助率(中小企業)補助上限向いているケース実施機関
省エネ・非化石転換補助金 設備単位型(Ⅲ事業) 1/2(条件次第で2/3) 指定設備区分による インバータ・モーター単体の更新が主目的 SII(経済産業省)
省エネ・非化石転換補助金 工場・事業場型(Ⅰ事業) 1/2〜2/3(省エネ率次第) 最大15億円 事業場全体の省エネ改修(インバータ含む複数設備) SII(経済産業省)
新事業進出・ものづくり補助金(革新的製品・サービス枠) 1/2〜2/3 1,000万円〜9,000万円 新製品・新工程への設備投資に省エネ目的を組み合わせる場合 中小企業庁
各自治体独自補助(都道府県・市区町村) 自治体により異なる 自治体により異なる SII補助金と組み合わせた上乗せ活用 各自治体

2026年度の最優先候補:省エネ・非化石転換補助金 設備単位型(Ⅲ事業)

インバータ・省エネモーター導入において最も直接的に活用できるのが設備単位型(Ⅲ事業)です。設備1台〜数台単位で申請でき、大規模な事業計画書の作成が不要なため、中小企業でも比較的取り組みやすい制度です。以下では設備単位型を中心に詳しく解説します。

省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の基本情報

令和7年度補正予算で措置された「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」の基本情報は以下の通りです(2026年6月時点。最新情報はSII公式サイトで確認)。

項目内容
正式名称令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)
執行機関一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)
補助対象者工場・事業場を保有する中小企業・中堅企業・大企業(法人・個人事業主)
補助率(中小企業)1/2(GXⅢ類型・トップ性能枠は2/3)
補助率(大企業・中堅企業)1/3(GXⅢ類型・トップ性能枠は1/2)
補助下限額50万円(補助金額)
1次公募期間2026年3月30日〜2026年4月27日(終了)
2次公募期間2026年6月1日〜2026年7月9日(予定)
申請方式Jグランツ(GビズIDプライム必須)

補助率・補助上限額・申請要件は公募回ごとに変更される場合があります。申請前に必ずSII公式特設サイトの最新公募要領をご確認ください。

インバータ・省エネモーターの対象設備要件と申請区分

インバータと省エネモーターでは、SIIへの型番登録の要否が異なります。この違いを正確に理解しておくことが、スムーズな申請の前提になります。

インバータ・モーターの「型番登録なし」申請とは

LED照明や空調機器はSIIが事前に型番を登録した「指定設備リスト」から選んで申請しますが、インバータと産業用モーター(コンプレッサー除く)は型番のSII事前登録が不要です(出典:SII公募要領)。申請者がIE3基準等を満たすことを確認し、SII所定の省エネ量計算シートで省エネ量を算出して申請書類に添付することで申請が可能です。

インバータの申請要件

インバータの補助対象要件は以下の通りです(SII公募要領に基づく):

  • 新品のインバータ装置であること(中古・リース品は原則不可)
  • 既存の誘導電動機(モーター)に新たに追設するもの、または省エネモーターとセットで更新するもの
  • 制御対象となるモーターが、ファン・ポンプ・コンプレッサー等負荷変動のある用途に使用されていること
  • 省エネ効果の計算が可能であること(SII所定の計算シートを使用)
  • インバータ盤・制御盤等の関連機器も補助対象経費に含められる

コンプレッサーのインバータは別区分

コンプレッサー(空気圧縮機)に取り付けるインバータは、「産業用モーター区分」ではなく「コンプレッサー区分」として申請します。コンプレッサーは型番登録制(SII指定製品リストから選択)になっているため注意が必要です。当サイトのコンプレッサー省エネ補助金ガイドも参照してください。

省エネモーター(産業用モーター)の申請要件

省エネモーター(圧縮機除く産業用モーター)の補助対象要件は以下の通りです:

  • IE3(プレミアム効率)以上のモーターへの更新であること(IE4・IE5はさらに高効率)
  • 更新前の既設モーターがIE2以下または標準品であること(同等スペックへの単純置換は対象外)
  • 圧縮機を除くポンプ・送風機・一般産業機械に使用するモーターであること
  • SII所定の省エネ量計算シート(産業用モーター指定計算)を使用して省エネ効果を算出できること
  • インバータとモーターを同時に更新する場合は、それぞれの補助額を合算して申請可能
IEC効率等級区分旧区分との対応補助対象
IE5ウルトラプレミアム効率(新設)対象(最優先・GXⅢ枠加点)
IE4スーパープレミアム効率(新設)対象(GXⅢ枠対応)
IE3プレミアム効率トップランナーモーター相当対象(標準)
IE2高効率旧高効率モーター更新前の既設モーターとして想定
IE1標準効率一般的な旧式モーター更新前の既設モーターとして想定

補助対象となる経費の範囲

設備単位型(Ⅲ事業)でインバータ・省エネモーターを申請する場合の補助対象経費の範囲は以下の通りです:

経費区分具体例補助対象
機器費インバータ本体、省エネモーター本体、インバータ盤・制御盤対象
工事費取付工事、配線工事、試運転調整費(中小企業のみ機器費の一定割合まで)対象(中小のみ)
設計費省エネ設計・計算費用(機器費の10%以内等の上限が設定される場合あり)条件付き対象
撤去費既設モーター・制御盤等の撤去・処分費用原則対象外
消耗品潤滑油・フィルター等の消耗品対象外

工事費は中小企業のみ補助対象に含められる特典があります(大企業・中堅企業は機器費のみ)。これにより、工事費込みで申請できる中小企業の実質的な補助メリットはさらに大きくなります。

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補助額の計算法【インバータ・省エネモーターの具体的な算出例】

インバータ・省エネモーターの補助金申請では、省エネ量計算が最も重要なプロセスです。SIIが定める指定計算方式(産業用モーター・インバータ)を使用して省エネ量(GJ/年)を算出し、これが補助金額の査定にも影響します。以下に補助額計算の流れと具体例を示します。

補助額計算の4ステップ

  1. 設備費の特定
    インバータ本体費+インバータ盤費+省エネモーター費+中小企業の場合は工事費を集計します。 見積書から補助対象経費合計額(消費税抜き)を算出します。
  2. 補助率の確認
    申請者の企業規模(中小企業・中堅企業・大企業)と申請枠(従来枠・GXⅢ枠)を確認し、適用される補助率(1/3・1/2・2/3)を特定します。
  3. 省エネ量の計算
    SII所定の計算シート(産業用モーター指定計算)を使用し、更新前後の消費電力差から年間省エネ量(GJ/年)を算出します。省エネ量計算書は申請書類の一部として提出が必要です。
  4. 補助金額の確定
    補助対象経費 × 補助率 = 補助金額(上限・下限の確認)。下限50万円未満の場合は申請不可。

計算例:ポンプ用インバータ追設(中小企業)

項目金額
インバータ本体費(22kW用)50万円
インバータ盤・制御盤工事費80万円
配線・設置工事費40万円
試運転・調整費10万円
補助対象経費合計180万円
補助率(中小企業・従来枠)1/2
補助金額90万円
自己負担額90万円

年間省エネ効果(電力削減約40%・年間電気代削減約55万円と仮定)に対して、自己負担90万円の回収期間は約1年8ヶ月(モデルケース)。

計算例:工場ファン・ポンプ一括更新(省エネモーター6台+インバータ6台)

項目金額
省エネモーター(IE3 11〜22kW × 6台)150万円
インバータ(6台)180万円
インバータ盤・制御盤120万円
工事費(中小企業)80万円
設計費・省エネ計算費20万円
補助対象経費合計550万円
補助率(中小企業・従来枠)1/2
補助金額275万円
自己負担額275万円

6台のポンプ・ファンをまとめて更新することで、補助金275万円が交付されるモデルケースです。年間電気代削減効果(各台30〜50%削減)が合計130万円程度と仮定すると、実質投資回収は約2年1ヶ月(モデルケース)。

GXⅢ枠・トップ性能枠で補助率2/3を狙う方法

2026年度から新設されたGXⅢ類型(GX設備単位型)では、省エネ性能が特に高い設備に対して補助率2/3(中小企業)が適用される「トップ性能枠」が設けられています。インバータ・省エネモーターでこの枠を活用するためのポイントは以下の通りです:

  • IE4・IE5モーターへの更新:IE3が標準基準となる中、さらに上位のIE4・IE5モーターへの更新がGXⅢ枠の要件を満たす可能性があります
  • インバータと省エネモーターのセット更新:単体よりも複合的な省エネ効果が評価されやすい
  • 省エネ率10%以上の達成:更新前後の省エネ率が審査で重視される場合があります

GXⅢ枠の詳細要件は年度ごとに変わる可能性があるため、必ずSII公式特設サイトの最新公募要領で確認してください。

業種別インバータ・省エネモーター導入シミュレーション【5事例】

インバータ・省エネモーターの省エネ効果と補助額は、導入する設備の用途・規模・既設設備の効率によって大きく異なります。以下に主要5業種のモデルケースを示します(実際の費用・補助額は見積もりと公募要領に基づいて確認してください)。

事例①:金属加工工場(従業員50名・中小企業)— ポンプ・ファン8台更新

工場の冷却水ポンプ4台と排気ファン4台をインバータ制御付き省エネモーターに一括更新するケースです。

項目金額・数値
導入設備省エネモーター(IE3 15kW)× 8台、インバータ × 8台、制御盤更新
機器費370万円
工事費(中小企業)130万円
補助対象経費合計500万円
補助金額(中小1/2)250万円
自己負担額250万円
年間電気代削減効果(各台35%削減)約160万円
投資回収期間(自己負担ベース)約1年7ヶ月
CO2削減量約30t/年

事例②:食品加工工場(中小企業)— 冷却ポンプ・コンベア制御更新

食品工場の冷却水ポンプ3台と搬送コンベア用モーター2台をインバータ化するケースです。衛生面から食品グレードの制御盤が必要で、費用は高めですが省エネ効果も大きい典型事例です。

項目金額・数値
機器費(インバータ・食品グレード盤)280万円
省エネモーター(IE3 5〜11kW × 5台)80万円
工事費・配線費90万円
補助対象経費合計450万円
補助金額(中小1/2)225万円
自己負担額225万円
年間電気代削減効果約110万円
投資回収期間約2年

事例③:物流倉庫(中堅企業)— 換気・空調ファン10台インバータ制御

大型物流倉庫の換気ファン・空調用ファン10台にインバータを追設するケースです。中堅企業のため補助率は1/3。工事費は補助対象外となります。

項目金額・数値
インバータ本体費(10台)450万円
制御盤改造費200万円
(工事費:中堅企業は対象外)
補助対象経費合計(機器費のみ)650万円
補助金額(中堅1/3)約217万円
自己負担額(工事費含む総費用)約580万円(補助後)
年間電気代削減効果(各台40%削減)約220万円
投資回収期間約2年8ヶ月

事例④:ホテル・旅館(中小企業)— 給排水ポンプ・冷却ポンプ4台更新

宿泊施設は24時間稼働でポンプが常時動いており、インバータ投資回収が最速クラスの業種の一つです。

項目金額・数値
インバータ(4台)+省エネモーター(IE3 × 4台)200万円
工事費・試運転費80万円
補助対象経費合計280万円
補助金額(中小1/2)140万円
自己負担額140万円
年間電気代削減効果(ポンプ50%削減)約90万円
投資回収期間約1年7ヶ月

事例⑤:病院・医療施設(中小企業)— 熱源ポンプ・空調ファン6台更新

病院は24時間・365日稼働のため、省エネ設備の稼働時間が長く削減効果が最大化されます。

項目金額・数値
インバータ(6台)+省エネモーター(6台)300万円
制御盤・工事費120万円
設計・省エネ計算費30万円
補助対象経費合計450万円
補助金額(中小1/2)225万円
自己負担額225万円
年間電気代削減効果約140万円
投資回収期間約1年7ヶ月
CO2削減量約40t/年

申請手順7ステップ【インバータ・省エネモーターの補助金申請フロー】

省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の申請から補助金入金までの流れを7ステップで解説します。インバータ・省エネモーターの場合、型番登録が不要な分、省エネ量の自己計算と証明が特に重要なポイントです。

  1. 【ステップ1】GビズIDプライムの取得(公募開始2〜3ヶ月前)
    Jグランツでの申請にGビズIDプライムが必須です。申請から発行まで2〜3週間かかるため、公募開始前に余裕をもって取得しておきましょう。取得先: GビズIDポータル(gbiz-id.go.jp)
  2. 【ステップ2】省エネ診断・現状把握(公募開始前)
    現在の設備の電力使用状況を調査します。各モーターの定格出力・稼働時間・負荷率・現在の制御方式(ダンパ/バルブ制御 or インバータなし)を把握します。省エネルギーセンターの無料診断を活用するか、設備メーカーの営業担当者に現地調査を依頼する方法が一般的です。
  3. 【ステップ3】設備の選定と見積取得(公募開始前)
    導入するインバータ・省エネモーターの機種を選定し、2社以上から見積もりを取得します(一定額以上は複数見積が必要)。機種確定後、SII所定の省エネ量計算シート(産業用モーター指定計算)に入力して年間省エネ量を算出します。省エネ量の計算はメーカー担当者や省エネコンサルタントに依頼することも可能です。
  4. 【ステップ4】Jグランツで申請書類を作成・提出(公募期間中)
    Jグランツ(jgrants.go.jp)にGビズIDでログインし、申請書類を作成します。必要書類の主なものは以下の通りです:
    • 事業計画書(省エネ対象設備の概要・導入理由・省エネ効果の説明)
    • 省エネ量計算書(SII指定計算シート)
    • 見積書(2社以上)
    • 設備の配置図・フロー図
    • 直近期の決算書(法人)または確定申告書(個人)
    • 登記事項証明書
  5. 【ステップ5】審査・交付決定通知(申請後1〜2ヶ月)
    SIIによる書類審査・省エネ効果の妥当性確認が行われます。採択された場合、交付決定通知書がJグランツ上で通知されます。交付決定通知が届いた日以降に、設備の発注・購入が可能になります。

    交付決定前の発注は補助対象外

    交付決定通知が届く前にインバータや省エネモーターを発注・購入した場合、その費用は補助対象外になります。これは省エネ補助金全体を通じて最も多い失敗パターンです。必ず交付決定を確認してから発注してください。

  6. 【ステップ6】設備の導入・検収(交付決定後)
    交付決定後に設備を発注し、納品・設置・試運転を行います。工事完了後に設置写真・試運転記録を保存しておきます(実績報告で使用)。なお、設備の導入・稼働開始が補助事業期間内(通常は交付決定年度の末まで)であることが必要です。
  7. 【ステップ7】実績報告・補助金入金(設備導入後1〜2ヶ月)
    設備の導入完了後、Jグランツで実績報告書を提出します。実績報告書には設置写真(導入前・導入後)、請求書・領収書、試運転記録・性能確認書、省エネ量の実績確認資料などを添付します。SIIの確認・検査を経て、補助金が指定口座に振り込まれます。

2026年度の申請タイムライン(2次公募ベース)

時期作業内容
〜2026年6月末GビズID取得・省エネ診断・設備選定・見積取得・省エネ計算
2026年6月1日〜7月9日Jグランツで申請書類作成・提出(2次公募期間内)
2026年8月〜9月頃審査・交付決定通知(予定)
2026年9月〜2027年1月頃設備発注・導入・試運転
2027年1月〜2月頃実績報告提出・補助金入金

スケジュールはSIIの発表により変更される場合があります。最新情報はSII公式特設サイトで確認してください。

採択率を高める申請書作成のポイント【インバータ・モーター特有の注意点】

インバータ・省エネモーターは型番登録不要の「自由記述型」申請のため、省エネ効果の計算・説明が採択の鍵を握ります。採択率を高めるための実践的なポイントを解説します。

省エネ量計算の精度を上げる

SIIの審査では「省エネ量の計算根拠が合理的か」が重要な評価ポイントです。以下の点を意識して計算精度を高めましょう:

  • 現状の実測値を使用する:既設設備の電力計測値(ロギングデータ)があれば、それを計算の根拠として添付すると審査が通りやすくなります
  • 稼働時間の実績を記録する:年間稼働時間を根拠付きで記載(操業記録・工場カレンダーから算出)
  • 負荷率の実態に基づく設定:常に100%定格で動いているわけでなく、実際の負荷率(例:平均70%稼働)を使用することで現実的な省エネ量が算出できます
  • SII指定計算シートに忠実に記入:独自の計算方法は不可。SIIが定めた様式の計算シートを使い、入力項目を正確に埋めます

事業計画書の記載ポイント

  • 既設設備の問題点を具体的に記述:「現在ダンパ制御で全力運転しており、○%のエネルギーロスが生じている」など定量的に説明
  • 更新後の制御方式を明確に説明:インバータによる可変速制御でどう改善されるか(例:負荷変動に応じて30〜80%の範囲で回転数制御)
  • 複数設備のまとめ申請も有効:1台ずつよりも複数台をまとめて申請することで補助額が下限50万円を超えやすくなります

よくある不採択パターンと対策

不採択パターン対策
省エネ量計算の根拠が薄い(稼働時間の裏付けなし) 操業記録・電力計量データを添付。不明な場合は設備メーカーの標準稼働時間を根拠に説明
補助金額が下限を下回る 複数台の設備をまとめて申請するか、工事費(中小企業の場合)も合わせて計上
既設設備が比較的新しく省エネ改善効果が小さい IE1〜IE2相当の古い設備を優先。導入後の省エネ率(目安10%以上)が確保できる設備から申請
交付決定前に発注をしてしまっている 公募要領の日付ルールを厳守。見積書の取得日は申請前でよいが、発注・購入は交付決定後が原則

ものづくり補助金・自治体補助金との比較と組み合わせ活用法

インバータ・省エネモーターの導入にあたって、SII補助金以外の補助金も検討候補になります。また、SII補助金と自治体補助金の組み合わせ活用で自己負担をさらに削減することも可能です。

ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり補助金)との比較

比較項目SII補助金(設備単位型)ものづくり補助金
目的省エネルギー効果を主目的とした設備更新生産性向上・革新的な製品・工程の開発
インバータ・モーターの位置づけメイン設備として申請可能革新的製品・工程改善のための付随設備として申請可能
補助率(中小)1/2(条件次第で2/3)1/2〜2/3
補助上限指定設備区分による750万円〜9,000万円
事業計画の難易度省エネ効果の計算が中心(比較的シンプル)革新性・付加価値の説明が必要(難易度高め)
向いているケース純粋に省エネが目的・設備投資規模が比較的小さい生産性向上・新工程開発と同時に省エネも実現する

自治体補助金との組み合わせ活用

国のSII補助金に加えて、都道府県・市区町村が独自の省エネ補助金を設けている場合があります。国と自治体の補助金は、補助対象経費が重複しない範囲で併用が可能なケースがあります。

自治体補助制度の例(参考)確認先
東京都中小企業省エネ設備導入補助金、東京都省エネ促進税制クール・ネット東京
神奈川県中小企業省エネルギー設備導入費等補助金神奈川県庁産業振興課
愛知県・名古屋市中小企業省エネ設備導入補助愛知県・名古屋市窓口
大阪府・大阪市おおさかスマートエネルギープラン(工場・事業所省エネ支援)大阪府産業局

自治体補助金は年度ごとに制度内容が変わるため、各都道府県・市区町村の産業振興担当窓口やよろず支援拠点で最新情報を確認することをお勧めします。

中小企業経営強化税制の活用(即時償却・税額控除)

補助金とは別に、中小企業経営強化税制を活用することで、インバータ・省エネモーターに係る設備投資について即時償却または税額控除(取得価額の10%)を受けられる可能性があります。経営力向上計画の認定が前提条件となります。補助金と税制優遇の組み合わせを活用することで、実質的な投資負担をさらに軽減できます。詳細は担当の税理士・中小企業診断士に確認してください。

主要インバータ・省エネモーターメーカー比較【選び方と補助金申請の注意点】

インバータ・省エネモーターの主要メーカーと特徴を比較します。補助金申請において重要なのは「IE3以上の証明書類が取得できるか」「省エネ量計算に必要な仕様書を提供してもらえるか」の2点です。

主要インバータメーカー(参考)

メーカー主要シリーズ(参考)特徴対応規模の目安
三菱電機FREQROLシリーズ省エネ機能・ベクトル制御・メンテナンスが充実。国内最大シェア。0.1〜400kW
安川電機CIMR-A(A1000)シリーズ等高精度ベクトル制御。産業機械・サーボへの応用に強み。0.4〜630kW
富士電機FRENIC-Aceシリーズ等ポンプ・ファン用省エネ制御機能が豊富。水処理業界に強み。0.4〜315kW
オムロン3G3RXシリーズ等コンパクトで省スペース設計。PLC連携が容易。0.4〜160kW
日立産機システムSJ700/800シリーズ等省エネ効果の見える化機能が充実。クレーン・ホイスト用途にも対応。0.4〜400kW

主要省エネモーター(IE3以上)メーカー(参考)

メーカー主要ラインナップ(参考)特徴
三菱電機スーパーラインプレミアムシリーズ(IE3)国内最多のIE3対応ラインナップ。汎用・防爆・耐食対応が豊富。
日立産機システムKIシリーズ(IE3)、EKKIシリーズ(IE3)食品機械・化学機械用途向けが充実。ステンレス外装も選択可能。
東芝産業機器システムTKKFB/TKK21シリーズ(IE3)高効率一般産業用モーター。インバータ駆動専用モーターも展開。
ABBGeneral Purpose Motors(IE3/IE4)IE4対応ラインナップが豊富。グローバル対応で輸出製品向け設備にも使いやすい。

上記は市場に存在する主要メーカーの例示です。補助金申請時は必ず各メーカーに最新の仕様書・IE等級証明書を入手してください。

補助金申請のためにメーカーに依頼すること

  • IEC効率等級の証明書(IE3以上であることの確認)
  • 設計仕様書(定格出力・効率データ)
  • 省エネ量計算に使用する消費電力データ
  • SII省エネ量計算シートの記入サポート(多くのメーカーで対応)

申請書類チェックリスト【インバータ・省エネモーター申請用15項目】

申請書類の準備漏れは不採択・再提出の原因になります。以下のチェックリストで申請前に全て確認してください(公募要領で最終確認を行ってください)。

#書類名入手先・作成方法
1GビズIDプライムのログイン情報GビズIDポータルで取得(発行まで2〜3週間)
2補助事業計画書SII所定様式(Jグランツのフォームで作成)
3省エネ量計算書(産業用モーター指定計算)SII公式サイトから計算シートをダウンロードして記入
4設備仕様書・カタログメーカー・販売店から入手
5IE3以上の効率等級証明書類メーカーに依頼
6見積書(2社以上)設備メーカー・販売店・工事会社から取得
7既設設備の状況説明資料(写真・仕様書)現地撮影・既設機器の銘板情報
8設備配置図・フロー図既存の設備図面から作成(手書きも可)
9直近期の決算書(2期分)社内経理部門・税理士から入手
10登記事項証明書(履歴事項全部証明書)法務局(発行3ヶ月以内のもの)
11中小企業確認書類(資本金・従業員数)決算書から抽出、または中小企業庁所定の書式
12工事費の内訳書(中小企業の場合)工事業者から取得
13稼働実績・電力使用実績資料電力計のロギングデータ・電気料金明細書
14年間稼働時間の根拠資料操業記録・生産カレンダー・就業規則等
15過去の補助金受給状況の確認同一設備・重複申請がないかを確認

最新情報の確認先と一次情報源

省エネ補助金の制度内容・補助率・公募スケジュールは年度ごとに変更されます。申請前には必ず以下の一次情報源で最新情報を確認してください。

情報源確認すべき内容URL
SII 省エネ・非化石転換補助金 公式特設サイト 公募要領・申請様式・省エネ量計算シート・Q&A syouenehojyokin.sii.or.jp
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よくある質問(FAQ)

Aはい、申請できます。インバータ(産業用モーターの一部)は、LED照明や空調機器と異なり、SIIへの製品型番の事前登録が不要です(出典:SII公募要領)。申請者がIE基準を満たすことを確認し、SII所定の省エネ量計算シートで省エネ量を算出して申請書類に添付することで申請が可能です。ただしコンプレッサー(空気圧縮機)用インバータは「コンプレッサー区分」として型番登録制度が適用されるため扱いが異なります。詳細は最新の公募要領でご確認ください。
Aはい、既存モーターへのインバータ追設も補助対象になります。モーターの更新は不要で、インバータ本体・インバータ盤・配線工事費(中小企業の場合)が補助対象経費に含まれます。ただし追設後の省エネ量計算が必要です。また、既設モーターがすでにインバータ制御されている場合は「既存の省エネ設備への重複申請」と判断される可能性があるため注意が必要です。
A自社で行うこともできますが、設備メーカーや省エネコンサルタントに依頼することも一般的です。SIIの公式サイトから「産業用モーター指定計算シート」をダウンロードし、現状の電力使用量・稼働時間・更新前後の効率データを入力することで算出します。多くのインバータ・モーターメーカーでは、補助金申請サポートとして計算書作成を支援してもらえるケースもあります。設備の発注先に確認してみることをお勧めします。
A設備単位型(Ⅲ事業)では補助金額の下限が設定されています(公募要領で確認)。補助金額が下限を下回る場合は申請が受理されません。この場合の対応として、1回の申請で複数台のインバータ・モーターをまとめて申請する、工事費(中小企業の場合)も合わせて計上するなどの方法が有効です。また、自治体独自の補助金は下限額が低いか設定されていない場合もあるため、合わせて確認することをお勧めします。
Aはい、申請できます。ただし補助率が異なり、中堅企業は1/3〜1/2、大企業は1/3(GXⅢ枠のトップ性能では1/2)が適用されます。また、工事費は中小企業のみ補助対象に含められるため、中堅・大企業は機器費のみが補助対象となります。中小企業と比べると補助メリットは小さくなりますが、大規模設備の更新では補助金額の絶対値が大きくなるケースもあります。
A同一の設備・経費に対して2つの補助金を重複して申請することは原則できません。ただし、ものづくり補助金で申請する設備と、SII補助金で申請する設備が異なる場合、または同一のプロジェクト内でも経費区分を明確に分けることができれば、別々の補助金を活用することが可能です。具体的な整理については、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)や中小企業診断士に相談することをお勧めします。
A省エネ・非化石転換補助金は例年複数回の公募が実施されています。2次公募の後に3次公募が行われる場合もありますが、予算の消化状況によっては開催されないこともあります。また、翌年度の補正予算による継続が決定された場合は、次年度以降の公募でも申請できます。最新のスケジュールはSII公式サイト(syouenehojyokin.sii.or.jp)で確認するとともに、メールニュースへの登録もお勧めします。
Aインバータ本体の定期点検(年1回程度)や冷却フィルターの清掃・交換が主な維持費です。一般的に年間保守費用はインバータ1台あたり数万円程度が目安ですが、機器の規模・設置環境・契約内容によって異なります。省エネモーターは基本的にメンテナンスフリーですが、軸受けの定期点検は必要です。費用対効果計算では、省エネ効果による電気代削減から維持費を差し引いた「ネット削減額」で投資回収期間を計算することをお勧めします。
A申請代行の費用は、着手金(5〜20万円程度)+成功報酬(補助金額の5〜15%程度)という料金体系が一般的です。申請書類の作成・省エネ計算・Jグランツへの登録まで対応してもらえます。ただし、実績報告の段階まで支援してもらえるかどうかも確認が必要です。費用対効果として、補助金額が100万円以下の小規模な申請では自力申請も十分現実的です。
Aはい、補助金で導入した設備は一定期間(処分制限期間)の維持義務があります。インバータ・モーターは一般的に法定耐用年数(通常5〜10年)に基づく期間の維持が求められます。処分制限期間内に設備を売却・廃棄・用途変更する場合は、SIIへの承認申請が必要であり、場合によっては補助金の返還を求められることがあります。補助金交付決定通知書・実績報告完了後の通知書で維持期間を必ず確認してください。
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