省エネ補助金2026年度リフレッシュ版【制度改正・補助率変更点まとめ】
制度・仕組み
公開: 2026年6月24日
更新: 2026年6月24日
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この記事の結論
2026年度(令和7年度補正予算)の省エネ補助金は、制度名が「省エネ・非化石転換補助金」に変更され、申請の枠組みが大きく刷新されました。主な変更点は①4つの申請区分への再編、②設備単位型にGXトップ性能枠・メーカー強化枠の新設、③工場・事業場型でサプライチェーン連携枠の追加、④電化・脱炭素燃転型で水素対応設備の対象化です。2次公募(2026年6月1日〜7月9日)は現在受付中のため、本記事で変更点を把握してすぐ申請に動いてください。
2026年度 省エネ補助金の全体像:制度名・体系の大転換
2026年度(令和7年度補正予算)から、これまで「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」として知られていた制度が「省エネ・非化石転換補助金」という新名称に統合されました。この名称変更は単なるリブランドではなく、省エネから脱炭素・非化石化まで一体的に支援する方針の転換を反映しています。
2026年度の制度名と担当機関
| 旧名称(2025年度まで) | 新名称(2026年度) |
| 先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位型) | 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ・非化石転換補助金) |
| 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場型) | 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(省エネ・非化石転換補助金) |
担当機関は引き続き一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)。申請ポータル・問い合わせ窓口も同一です。
2026年度の制度体系を図式化すると以下のようになります。
| 申請型 | 事業区分 | 対象の規模感 |
工場・事業場型 (SII事業①②④) | Ⅰ型:省エネ投資促進 | 工場・事業場全体の総合省エネ計画 |
| Ⅱ型:電化・脱炭素燃転 | 化石燃料から電気・低炭素燃料への転換 |
| Ⅳ型:エネルギー需要最適化(エネマネ) | EMS導入によるエネルギー管理の最適化 |
設備単位型 (SII事業③) | Ⅲ型:省エネ設備更新(標準枠) | 15種の汎用設備を単体更新 |
| GXⅢ型:GX設備単位型(新設枠) | GX要件を満たす高性能設備の更新・新設 |
従来の「告示基準型」「オーダーメイド型」という区分は廃止され、上記の4区分に整理されました。どの区分に該当するかは、設備の種類・事業場全体で申請するか単体で申請するかによって決まります。
2025年度との比較:2026年度 主要変更点5つを徹底解説
2026年度の省エネ補助金が2025年度と最も大きく異なる点を5つ取り上げ、実務上の影響を解説します。
変更点1:設備単位型にGX新枠が2種類追加(GXトップ性能枠・メーカー強化枠)
2025年度の設備単位型(Ⅲ型)には標準的な更新枠しかありませんでしたが、2026年度はGXⅢ型(GX設備単位型)として2つの新枠が創設されました。
| 枠の種類 | 補助率 | 補助上限額 | 主な要件 | 2025年度との違い |
| GXトップ性能枠 | 更新・改造:1/2以内 新設:1/5以内 | 上限3億円 | SIIが指定する5設備区分で「トップ性能基準」を満たす製品のみ | 新設も補助対象化(2026年から) |
| メーカー強化枠 | 1/3以内 | 上限3億円(従来の1億円から3倍に拡大) | GXコミットメントを宣言したメーカーの高効率製品のみ | 補助上限が1億円から3億円へ大幅拡大 |
GXトップ性能枠の対象5設備(SII認定製品リストで確認を)
- 高効率変圧器
- 高効率空調(業務用エアコン等)
- LED照明
- 産業ヒートポンプ
- 高効率ボイラー
5設備のいずれかで「SIIが認定するトップ性能基準製品」に該当する場合、更新なら補助率1/2・新設なら補助率1/5で申請できます(最新の認定リストはSII公式サイトで確認)。
変更点2:工場・事業場型にサプライチェーン連携枠が新設
Ⅰ型(省エネ投資促進・工場事業場型)に「サプライチェーン連携枠」が新たに追加されました。これは単独の工場ではなく、サプライチェーン上流・下流の複数事業者が連携して省エネ計画を策定し、一括申請する仕組みです。
| 項目 | 一般枠(従来型) | サプライチェーン連携枠(新設) |
| 申請単位 | 単独事業者 | 4社以上のサプライチェーン連携グループ |
| 補助率(中小企業) | 1/2以内 | 1/2以内(同率) |
| 補助上限額 | 単年:15億円 複数年:20億円 | 連携全体:30億円(最大) |
| メリット | 自社だけで申請可能 | グループ全体で最大30億円の大規模申請が可能 |
| デメリット | 大規模設備投資は上限に当たりやすい | 幹事企業が必要・連携計画の調整コスト |
製造業の大企業・中堅企業が中心事業者(幹事企業)となり、協力工場・部品メーカーと連携して申請するケースが主な活用シーンです。連携することで自社単体の15億円上限を超える30億円の採択が可能になる点が最大のメリットです。
変更点3:電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)で水素対応設備が対象化
Ⅱ型(電化・脱炭素燃転型)は、化石燃料(ガス・重油等)を使う設備を電気または低炭素燃料を使う設備に転換する工事を支援するものです。2026年度の大きな変更点として、水素対応設備の改造・新設が補助対象に追加されました。
| 設備区分 | 対象設備の例 | 補助率 | 補助上限 |
| 産業ヒートポンプへの転換 | ガスボイラーをヒートポンプ蒸気発生器に更新 | 1/2以内 | 5億円(電化事業) |
| 業務用ヒートポンプ給湯器への転換 | ガス給湯器をCO2ヒートポンプ給湯器に更新 | 1/2以内 | 3億円 |
| 高性能ボイラー転換 | 重油ボイラーから低炭素燃料対応ボイラーへ更新 | 1/2以内 | 3億円 |
| 高効率コージェネレーション | ガスエンジンCGS等(効率基準を満たすもの) | 1/2以内 | 3億円 |
| 低炭素工業炉 | 電気炉・水素対応炉への転換 | 1/2以内 | 3億円 |
| 水素対応設備(2026年から新規追加) | 水素バーナー・水素対応ボイラーの改造・新設 | 新設1/5以内 改造1/2以内 | 3億円 |
Ⅱ型の特徴として、設備費だけでなく工事費(中小企業等に限る)も補助対象経費に含まれる点は2026年度も変わりません。電化補助の上限額は3億円、電化事業に限り5億円と優遇されています。
変更点4:公募スケジュールの前倒し・2次公募の早期化
2025年度は夏ごろに1次公募が開始することが多かったのに対し、2026年度は3月末から1次公募が開始され、スケジュールが大幅に前倒しされています。
| 公募回 | 公募期間 | 対象事業区分 | 状況 |
| 1次公募(設備単位型) | 2026年3月30日〜4月27日 | Ⅲ型(標準枠)・GXⅢ型 | 締切済 |
| 1次公募(工場・事業場型等) | 2026年3月30日〜5月上旬 | Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅳ型 | 締切済 |
| 2次公募(全区分) | 2026年6月1日〜7月9日 | 全区分(Ⅰ〜Ⅳ型・GXⅢ型) | 受付中 |
| 3次公募(予定) | 2026年秋頃(未確定) | 予算残額による | 未定 |
2次公募(7月9日締切)に間に合わせるには今すぐ動く
2次公募の締切は2026年7月9日です。申請書類の準備(省エネ計算・見積・事業計画書)には最低2〜4週間かかるため、申請を検討している事業者は今すぐ省エネ診断と見積取得を開始してください。
変更点5:申請要件の細部変更(省エネ率・経費計上ルール等)
2026年度は申請要件の細部にも変更が加えられています。主な変更点を確認しておきましょう。
| 要件項目 | 2025年度まで | 2026年度 |
| 省エネ効果の基準(設備単位型・標準枠) | 省エネ率10%以上 または省エネ量1kl以上 または費用対効果基準 | 基本は同じ(3要件のいずれか1つを満たすこと) |
| 対象経費:工事費 | Ⅱ型のみ中小企業等は工事費対象 | Ⅱ型は引き続き工事費対象(Ⅰ型・Ⅲ型は設備費のみ) |
| 事業完了期限 | 交付決定後〜当該年度1月末 | 交付決定後〜当該年度1月末(変更なし) |
| 見積取得のタイミング | 公募開始後に取得した見積が必要 | 公募開始後に取得した見積が必要(変更なし) |
| 申請下限額 | 30万円(設備単位型) | 30万円(設備単位型、変更なし) |
| GX要件(GXⅢ型のみ) | なし(GXⅢ型が存在しなかった) | ①省エネ技術・製品の国内製造能力の維持・強化 ②低炭素化に貢献 ③投資計画の策定 の3要件を満たすこと |
補助金申請において最も注意すべきルールは「公募開始後に見積を取得し、交付決定後に発注する」という順序です。これは2025年度から変わらない原則ですが、過去に最も多い採択後トラブルの原因になっているため、再確認しておきましょう。
2026年度 補助率・補助上限額 完全比較表
2026年度の申請区分ごとの補助率・補助上限額をまとめた比較表です。申請区分を選ぶ際の基準として活用してください。
| 事業区分 |
申請枠 |
補助率(中小企業) |
補助率(大企業等) |
補助上限額 |
補助下限額 |
Ⅰ型 工場・事業場型 |
一般枠(単年) |
1/2以内 |
1/3以内 |
15億円 |
100万円/年 |
| サプライチェーン連携枠 |
1/2以内 |
1/3以内 |
30億円(連携合計) |
100万円/年 |
Ⅱ型 電化・脱炭素燃転型 |
更新・改造 |
1/2以内 |
1/3以内 |
3億円(電化事業は5億円) |
100万円 |
| 水素設備新設 |
1/5以内 |
1/5以内 |
3億円 |
100万円 |
Ⅲ型 設備単位型・標準枠 |
汎用15設備の更新 |
1/3以内 |
1/3以内 |
1億円 |
30万円 |
GXⅢ型 設備単位型・新枠 |
GXトップ性能枠(更新) |
1/2以内 |
1/2以内 |
3億円 |
30万円 |
| メーカー強化枠 |
1/3以内 |
1/3以内 |
3億円 |
30万円 |
Ⅳ型 エネマネ(エネルギー需要最適化) |
EMS導入・エネマネ |
1/2以内 |
1/3以内 |
5,000万円 |
30万円 |
補助額の計算例(2026年度・中小企業)
- Ⅲ型(標準枠)でLED照明更新(設備費300万円): 300万円 × 1/3 = 補助額100万円(自己負担200万円)
- GXトップ性能枠で高効率空調更新(設備費1,500万円): 1,500万円 × 1/2 = 補助額750万円(自己負担750万円)
- Ⅱ型で工場ボイラーをヒートポンプへ転換(設備費+工事費 3,000万円): 3,000万円 × 1/2 = 補助額1,500万円(自己負担1,500万円)
- Ⅰ型(一般枠・複数年)で大規模省エネ改修(設備費2億円): 2億円 × 1/2 = 補助額1億円(自己負担1億円、上限15億円の範囲内)
補助率の最新確定値・詳細な計算方法は公募要領(SII公式公募情報ページ)でご確認ください。
自社に合う申請区分の選び方:6パターンの早見表
申請区分の選択は採択率に直結します。自社の省エネ計画の規模・設備の種類・脱炭素の方向性をもとに、以下の早見表で判断してください。
| こんな場合はこの区分 | 推奨区分 | 理由 |
| 工場全体で省エネ計画を立て、複数設備を一括更新したい | Ⅰ型(工場・事業場型) | 工場全体で省エネ計画を評価するため大規模投資に向く。補助上限15億円。 |
| ガス・重油設備を電気またはヒートポンプに切り替えたい | Ⅱ型(電化・脱炭素燃転型) | 工事費も対象になる唯一の区分。電化事業は上限5億円。 |
| 1種類の設備を単体で更新したい(空調・LED・変圧器等)、申請が初めて | Ⅲ型(設備単位型・標準枠) | SIIのカタログから設備を選ぶだけで申請可能。下限30万円と小規模でも申請できる。 |
| SIIが認定するトップ性能製品か、GXコミットメント企業の高効率製品を購入する予定 | GXⅢ型(トップ性能枠またはメーカー強化枠) | 補助率が1/2以上に上がり、上限も3億円に拡大。ただし対象製品の確認が必要。 |
| EMS(エネルギー管理システム)を導入し、データ活用で継続的な省エネを進めたい | Ⅳ型(エネマネ) | エネマネ事業者登録業者と組んで申請。上限5,000万円。 |
| サプライチェーン全体で4社以上が連携して大規模省エネ計画を実施する | Ⅰ型・サプライチェーン連携枠 | 連携グループ合計で最大30億円の補助が可能。 |
初めての申請は「Ⅲ型(設備単位型・標準枠)」がベストスタート
申請書類が最も簡便で、SIIの対象設備カタログから自社の更新設備を選ぶだけで申請できます。下限額も30万円と低く、中小企業・小規模事業者が空調1台・LED照明1フロアから申請できます。まず1件採択実績を作ってから、翌年以降に大規模なⅠ型・Ⅱ型に挑戦する戦略が採択率向上につながります。
2026年度 申請の流れ(2次公募・7月9日締切版)
現在受付中の2次公募(締切:2026年7月9日)で申請するための手順を逆算スケジュールとともに解説します。
| ステップ | 作業内容 | 2次公募の目安時期 |
| STEP 1 | GビズIDプライムの取得(未取得の場合) | 今すぐ(発行まで2〜3週間) |
| STEP 2 | 申請区分の確定・省エネ計算の準備 | 6月中旬までに着手 |
| STEP 3 | 設備メーカー・施工業者から見積取得(公募開始後の日付必須) | 6月中に取得 |
| STEP 4 | 申請書類の作成(事業計画書・省エネ計算書・見積書等) | 6月中〜7月1日までに作成 |
| STEP 5 | SII申請ポータルから電子申請(Jグランツ経由) | 7月9日までに提出 |
| STEP 6 | 審査・採択結果通知(採択後に交付申請へ) | 申請後1〜2ヶ月 |
| STEP 7 | 交付決定後に設備を発注・導入 | 交付決定後 |
| STEP 8 | 実績報告・補助金入金 | 2027年1月末までに事業完了 |
絶対に守る3つのルール(採択後トラブルの最大原因)
- 見積は公募開始後の日付で取得すること(公募前の見積は原則不可)
- 発注・契約は交付決定後に行うこと(交付決定前の発注は補助対象外)
- 事業完了期限(2027年1月末)までに設備導入・実績報告を完了させること
必要書類チェックリスト【2026年度・申請区分別】
2026年度の申請で必要な書類を区分別にまとめました。申請前に全項目を確認してください。
| 書類 | Ⅰ型 | Ⅱ型 | Ⅲ型標準 | GXⅢ型 | Ⅳ型 |
| 申請書(様式1) | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 事業計画書 | 必須 | 必須 | 不要 | 不要 | 必須 |
| 省エネ計算書(様式2) | 必須 | 必須 | 対象設備の省エネ量計算 | 対象設備の省エネ量計算 | 必須 |
| 見積書(2社以上) | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 対象設備の仕様書・カタログ | 必須 | 必須 | 必須 | 必須(認定製品証明) | 必須 |
| エネルギー使用状況届出書の写し | 必須(特定事業者) | 必須(特定事業者) | 不要 | 不要 | 必須(特定事業者) |
| 登記事項証明書 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 直近2期分の決算書 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| GXコミットメント証明(メーカー強化枠のみ) | 不要 | 不要 | 不要 | 必須(メーカー強化枠) | 不要 |
| エネマネ事業者との契約書(Ⅳ型のみ) | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 必須 |
書類不備による審査落ちを防ぐ5つのポイント
- 見積書の日付が公募開始日(2026年6月1日)以降であることを確認
- 見積書に設備名・型番・数量・単価が明記されているか確認
- 省エネ計算書の数値と申請書の数値が整合しているか確認
- 登記事項証明書は発行から3ヶ月以内のものを用意
- GXⅢ型を申請する場合は、SII認定製品リストに対象製品が掲載済みであることを事前確認
業種別 活用シミュレーション【2026年度の制度を活かす4パターン】
2026年度の新制度を最大限に活かす業種別シミュレーションです。すべてモデルケースとして試算したものです。実際の補助額は申請内容・審査結果により変わります。
モデルケース1:食品工場(中小企業)— GXトップ性能枠で空調を更新
| 申請区分 | GXⅢ型・トップ性能枠 |
| 更新設備 | 高効率業務用エアコン12台(SIIトップ性能認定品) |
| 設備費合計 | 1,800万円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 補助額(試算) | 900万円 |
| 自己負担(試算) | 900万円 |
| 年間電気代削減 | 約200万円(削減率38%) |
| 投資回収期間(試算) | 約4年半 |
標準枠(Ⅲ型・補助率1/3)と比較した場合、GXトップ性能枠(補助率1/2)を選ぶことで補助額が300万円多くなります。SIIトップ性能認定品は通常品より設備費が若干高い場合もありますが、補助率アップで実質負担はむしろ下がるケースがほとんどです。
モデルケース2:旅館(中小企業)— Ⅱ型でガス給湯をヒートポンプへ転換
| 申請区分 | Ⅱ型(電化・脱炭素燃転型) |
| 転換内容 | ガス給湯ボイラーをCO2ヒートポンプ給湯器へ更新 |
| 設備費+工事費合計 | 2,400万円(工事費600万円含む) |
| 補助率 | 1/2 |
| 補助額(試算) | 1,200万円(工事費含む) |
| 自己負担(試算) | 1,200万円 |
| 年間ガス代削減 | 約360万円(削減率55%) |
| 投資回収期間(試算) | 約3年4ヶ月 |
Ⅱ型の大きなメリットは工事費(中小企業等)も補助対象になる点です。設備費のみが対象のⅢ型と違い、ボイラー撤去・配管改造費まで補助されるため、実質負担が大幅に圧縮されます。
モデルケース3:オフィスビル管理会社(中堅企業)— Ⅰ型で工場全体の省エネ計画
| 申請区分 | Ⅰ型(工場・事業場型・一般枠) |
| 省エネ計画内容 | LED全館改修・高効率空調更新・BEMS導入・断熱窓改修の4本柱 |
| 設備費合計 | 8,000万円 |
| 補助率(中堅企業) | 1/3 |
| 補助額(試算) | 2,667万円 |
| 自己負担(試算) | 5,333万円 |
| 年間光熱費削減 | 約1,100万円(削減率42%) |
| 投資回収期間(試算) | 約4年10ヶ月 |
Ⅰ型は複数設備を同時申請できるため、単体設備をⅢ型で申請するより事務コストが少なく済みます。ただし事業計画書の作成で省エネ計算の精度が採択率に直結するため、エネルギー管理士または専門コンサルタントへの相談が推奨されます。
モデルケース4:自動車部品メーカー(親企業+協力工場6社)— サプライチェーン連携枠
| 申請区分 | Ⅰ型・サプライチェーン連携枠 |
| 連携体制 | 幹事企業1社(大企業)+協力工場6社(中小企業)=7社連携 |
| グループ全体の設備費合計 | 4億円 |
| 補助率(各社の企業規模による) | 大企業1/3、中小企業1/2 |
| 補助額合計(試算) | 2億円相当(企業規模別に算出) |
| 申請上限 | 連携合計30億円(十分な余裕) |
サプライチェーン連携枠は2026年度から新設された制度のため前年度実績がありません。要件(4社以上の連携・連携省エネ計画の策定等)の達成が審査で重視されると考えられるため、申請には早期の専門家相談が推奨されます。
省エネ・非化石転換補助金と他の補助金の比較・使い分け表
省エネ・非化石転換補助金と、企業がよく活用する他の補助金との違いを比較します。
| 補助金名 |
主な目的 |
補助率(中小企業) |
補助上限 |
主な対象設備 |
省エネとの組み合わせ |
| 省エネ・非化石転換補助金(SII) |
省エネ設備更新・脱炭素化 |
1/3〜1/2 |
1億〜30億円 |
空調・LED・ボイラー等 |
本補助金 |
| ものづくり補助金 |
生産性向上・設備投資 |
1/2〜2/3 |
750万〜8,000万円 |
機械装置・システム等 |
経費区分を分ければ併用可 |
| IT導入補助金 |
ITツール・ソフト導入 |
1/2〜3/4 |
5万〜450万円 |
ソフトウェア・クラウド等 |
BEMSソフト部分のみ対象可能性 |
| 環境省・脱炭素化推進補助金 |
CO2削減・再エネ導入 |
1/3〜1/2 |
事業による |
太陽光・蓄電池・EV充電 |
経費区分を分ければ併用可 |
| 中小企業経営強化税制 |
設備投資の即時償却・税控除 |
即時償却または取得価額10%控除 |
上限なし(税制) |
生産性向上設備等 |
補助金と重複適用可(圧縮記帳が必要) |
最強の組み合わせ:省エネ補助金と脱炭素化補助金の二段活用
- 省エネ・非化石転換補助金(SII): 空調・LED・変圧器等の省エネ設備をⅢ型/Ⅰ型で申請
- 環境省・脱炭素化推進補助金: 太陽光発電・蓄電池・EV充電設備を別途申請
経費区分を設備ごとに明確に分離することで、両方の補助金を並列で活用できます。詳しくは補助金併用ガイドをご参照ください。
採択率を上げる申請書作成の5つのポイント
2026年度の省エネ補助金で採択率を高めるために実務上重要な5つのポイントを解説します。
ポイント1:省エネ計算の精度を上げる
Ⅰ型・Ⅱ型の審査では、省エネ効果の大きさと費用対効果が最重視されます。省エネ計算書の数値に誤りや過小評価があると、採択後の実績報告で問題になるケースもあります。
- 現在のエネルギー使用量(ベースライン)をエネルギー使用量データ(過去2〜3年分)で正確に算出
- 更新後の設備の省エネ性能はカタログ数値ではなく実使用条件(稼働時間・負荷率)を反映させる
- 省エネ計算ソフト(SII提供)を活用し、計算根拠を明確に記録する
ポイント2:認定省エネアドバイザー・エネルギー管理士を活用
Ⅰ型では省エネ計算書の作成にエネルギー管理士等の専門家が関与することが望ましいとされています。また、SIIが認定する「省エネアドバイザー」に相談することで、公募要領の解釈や書類作成のアドバイスが得られます。
- 省エネルギーセンター(ECCJ)の省エネアドバイザー: 無料診断を実施
- エネルギー管理士: 工場・事業場のエネルギー計算に強み
- ZEBプランナー: Ⅰ型でZEB相当の省エネ改修を申請する場合に必要
ポイント3:公募開始直後に申請する(予算消化を見越す)
省エネ補助金は先着順ではなく審査順に採択されますが、予算枠内に採択を収める必要があります。1次・2次公募と回数が進むほど予算の残額が減るため、公募開始直後の申請が有利です。特に2次公募(7月9日締切)は1次公募後の残予算での実施のため、書類準備は7月初旬には完了させる計画で動いてください。
ポイント4:費用対効果(投資回収期間)を競合より短くする
Ⅰ型・Ⅱ型の審査では、省エネ量あたりの補助額(費用対効果)が比較されます。投資回収期間が短い事業計画(目安:5年以内)は採択率が高くなる傾向があります。
- 投資回収期間の計算式: 自己負担額 ÷ 年間エネルギーコスト削減額
- 電力単価の想定は最新の電力料金を使用(単価が高いほど削減効果が大きく見えるが、実績報告と乖離しないようにする)
- 設備更新で生産量増加が見込める場合は、その数値も事業計画に盛り込む
ポイント5:GXⅢ型(新枠)の認定製品を事前確認する
GXトップ性能枠・メーカー強化枠は補助率が高い分、対象製品が限定されます。申請前に必ずSIIの認定製品リスト(SII公式サイトの設備検索ツール)で目的の製品が掲載されているか確認してください。
- GXトップ性能枠: SII第三者委員会が認定した5設備区分の「トップ性能基準製品」のみ
- メーカー強化枠: GXコミットメントを宣言したメーカーの登録高効率製品のみ
- 認定リストの更新は随時行われるため、申請直前に最新版を確認すること
最新の認定製品リストは省エネ・非化石転換補助金 2026年版特設サイト(SII)の設備検索ツールから確認できます。
国補助金と自治体上乗せ補助の組み合わせ方(2026年度版)
省エネ・非化石転換補助金(SII)は、都道府県・市区町村が独自に設ける省エネ補助金と経費区分が重複しなければ原則として併用可能です。国の補助金で自己負担を減らしつつ、自治体補助金で工事費や周辺設備をカバーする二重活用が効果的です。
| 都道府県・政令市 | 自治体独自の省エネ補助金例 | SII補助金との組み合わせ方 |
| 東京都 | 省エネ促進税制(固定資産税減免)・地域脱炭素化促進補助金 | SIIで設備費補助、都制度で税制優遇を同時活用 |
| 大阪府 | おおさかスマートエネルギープラン(太陽光・蓄電池) | SIIで省エネ設備、大阪府制度で再エネを分担 |
| 愛知県 | 中小企業省エネ設備導入促進補助金 | SIIで設備本体、愛知県で工事費・コンサル費を補助 |
| 北海道 | 寒冷地型省エネ支援補助金(断熱・ボイラーに特化) | SIIで汎用省エネ設備、北海道で寒冷地特有の断熱工事を補助 |
| 神奈川県 | 省エネ加速化補助金 | SIIで空調・LED、神奈川県で蓄電池・EV充電設備を補助 |
お住まいの都道府県の上乗せ補助は地域別ガイドで確認できます。47都道府県すべての省エネ補助金情報を掲載しています。
省エネ補助金の2026年度申請を専門家に相談する
2026年度の省エネ・非化石転換補助金は、申請区分の増加とGX新枠の追加により、最適な申請区分の選定・省エネ計算・書類作成のハードルが前年度より上がっています。以下の専門家を活用することで採択率を高められます。
| 専門家の種類 | 主な役割 | 費用目安 |
| 省エネコンサルタント | 省エネ診断・計算・最適区分の選定・書類作成支援 | 成功報酬型(採択補助額の5〜10%)または固定費用 |
| エネルギー管理士 | Ⅰ型・Ⅱ型の省エネ計算書の作成・エネルギー分析 | 時間単価または固定費用(20〜80万円程度) |
| 中小企業診断士 | 事業計画書の作成・経営的観点からのサポート | 時間単価または固定費用(20〜60万円程度) |
| ZEBプランナー | 建物全体のZEB化設計・Ⅰ型ZEB相当申請の支援 | 設計費込み(個別見積) |
| エネマネ事業者 | Ⅳ型(エネマネ)専門。EMS導入から補助金申請まで一括支援 | EMS導入費に含む(個別見積) |
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