省エネ計算の方法と計算ツール【補助金申請に必要な手順】
制度・仕組み
公開: 2026年4月5日
更新: 2026年4月5日
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この記事の結論
省エネ補助金の申請では、導入する設備によってどれだけエネルギーを削減できるかを数値で示す必要があります。この「省エネ計算」は、告示基準型では比較的シンプルですが、オーダーメイド型では詳細な計算書の提出が求められます。
省エネ補助金申請に必要な省エネ計算とは?
省エネ補助金の申請では、導入する設備によってどれだけエネルギーを削減できるかを数値で示す必要があります。この「省エネ計算」は、告示基準型では比較的シンプルですが、オーダーメイド型では詳細な計算書の提出が求められます。
本記事では、省エネ率の計算方法、一次エネルギー消費量の算出手順、CO2削減量の計算、無料の計算ツールの活用法まで網羅的に解説します。
省エネ計算の3つの指標
- 省エネ率(%): 導入前後のエネルギー消費量の削減割合。オーダーメイド型は30%以上が必須
- 一次エネルギー消費量(GJ): 電気・ガス・油をすべて原油換算(GJ)に統一した指標
- CO2削減量(t-CO2): 脱炭素化推進補助金で特に重視される指標
省エネ率の計算方法【基本の計算式】
省エネ率は、導入前と導入後のエネルギー消費量を比較して算出します。
省エネ率の基本計算式
省エネ率(%)=(導入前エネルギー消費量 - 導入後エネルギー消費量)÷ 導入前エネルギー消費量 × 100
例えば、空調更新前の年間電力消費が100,000kWhで、高効率空調に更新後に60,000kWhになる場合:
| 導入前 | 100,000 kWh/年 |
| 導入後 | 60,000 kWh/年 |
| 削減量 | 40,000 kWh/年 |
| 省エネ率 | 40% |
オーダーメイド型では省エネ率30%以上が申請の最低要件です。告示基準型では認定設備の性能基準を満たしていれば個別の省エネ率計算は不要な場合もあります。
一次エネルギー消費量の計算方法
省エネ補助金の審査では、電気・ガス・灯油など異なるエネルギー源を一次エネルギー(原油換算: GJ)に統一して比較します。
エネルギー種別の換算係数
| エネルギー種別 | 単位 | 一次エネルギー換算係数 |
| 電力 | kWh | 9.76 MJ/kWh(昼間)/ 9.28 MJ/kWh(夜間) |
| 都市ガス | m3 | 45.0 MJ/m3 |
| LPガス | kg | 50.2 MJ/kg |
| 灯油 | L | 36.7 MJ/L |
| A重油 | L | 39.1 MJ/L |
計算例: 工場の一次エネルギー消費量
年間の電力使用量200,000kWh、都市ガス5,000m3の工場の場合:
| 電力 | 200,000 kWh × 9.76 MJ = 1,952,000 MJ |
| 都市ガス | 5,000 m3 × 45.0 MJ = 225,000 MJ |
| 合計 | 2,177,000 MJ = 2,177 GJ |
| 原油換算 | 2,177 GJ ÷ 38.2 GJ/kL = 約57 kL |
この値を導入前のベースラインとし、設備更新後の消費量と比較して省エネ率を算出します。
COP・APFとは?空調設備の省エネ性能指標
空調設備の省エネ効果を計算する際に使われるCOPとAPFの違いを理解しておきましょう。
| 指標 | 正式名称 | 計算方法 | 用途 |
| COP | 成績係数(Coefficient of Performance) | 冷暖房能力(kW) ÷ 消費電力(kW) | 特定条件下の瞬間効率 |
| APF | 通年エネルギー消費効率(Annual Performance Factor) | 年間冷暖房負荷(kWh) ÷ 年間消費電力(kWh) | 年間通した実効効率 |
APFが高いほど省エネ性能が高い機器です。SII認定設備リストではAPF基準値が設けられており、この基準を上回る機器のみが補助対象となります。
空調の省エネ計算例
旧空調(APF 3.5)→ 新空調(APF 6.0)に更新する場合:
省エネ率 = (1 - 3.5/6.0) × 100 = 約42%の省エネ
CO2削減量の計算方法
脱炭素化推進補助金では、CO2削減量が審査の重要指標です。エネルギー消費量にCO2排出係数を掛けて算出します。
| エネルギー種別 | CO2排出係数 |
| 電力 | 0.000441 t-CO2/kWh(全国平均。電力会社により異なる) |
| 都市ガス | 0.00224 t-CO2/m3 |
| LPガス | 0.00300 t-CO2/kg |
| 灯油 | 0.00249 t-CO2/L |
| A重油 | 0.00271 t-CO2/L |
例: 年間電力消費量を40,000kWh削減した場合のCO2削減量:
40,000 kWh × 0.000441 t-CO2/kWh = 約17.6 t-CO2/年
CO2削減量の大きさは採択率にも影響するため、複数設備の組み合わせで削減量を最大化する工夫が有効です。
省エネ計算を効率的に行うための無料ツールを紹介します。
| ツール名 | 提供元 | 用途 |
| 省エネ計算ツール(BEST) | 建築省エネルギー機構 | 建物全体の一次エネルギー消費量計算。ZEB認証に必須 |
| エネルギー消費性能計算プログラム | 国土交通省 | 住宅・非住宅建築物の省エネ基準適合判定 |
| 省エネルギー効果計算表 | SII | SII補助金申請用の省エネ効果計算テンプレート |
| DECC(脱炭素化効果計算ツール) | 環境省 | CO2排出削減量の計算 |
SII公式の計算テンプレートを活用
SII補助金の申請には、SII公式サイトで配布される省エネルギー効果計算表(Excelテンプレート)を使うのが最も確実です。設備カテゴリを選択して数値を入力すると、省エネ率と一次エネルギー削減量が自動計算されます。
省エネ診断を活用した計算の精度向上
省エネ計算の精度を高めるには、申請前に省エネ診断を受けることが有効です。専門家がエネルギー消費のベースラインを正確に測定し、最も効果の高い設備投資を特定してくれます。
- 省エネルギーセンターの無料診断: 中立的な立場での診断。年間エネルギー消費量のベースライン測定に最適
- 民間コンサルタントの有料診断: より詳細な設備別の分析。申請書類の作成支援まで一貫対応
- 電力会社の省エネ提案: 電力消費データの詳細分析を無料で提供してくれるケースあり
省エネ診断の結果を事業計画書に反映させると、計算の信頼性が高まり採択率の向上にもつながります。詳しくは省エネ診断ガイドをご覧ください。
省エネ計算でよくある間違いと対策
省エネ計算で申請書類に記載ミスがあると、審査で差し戻しや不採択の原因になります。以下のよくある間違いに注意してください。
| よくある間違い | 正しい対応 |
| 電力とガスの単位を混在させて計算 | すべて一次エネルギー(GJ)に換算してから比較 |
| 導入前のデータが推定値のみ | 過去1〜3年の実績データ(電気・ガス請求書)を使用 |
| 稼働時間の見積もりが過大 | 実態に即した稼働時間・負荷率で計算 |
| 設備の劣化を考慮していない | メーカーカタログ値ではなく実測値で導入前消費量を算出 |
| CO2排出係数が最新でない | 申請年度の最新排出係数を使用(環境省公表値) |
計算に不安がある場合は、省エネの専門家に計算書の作成を依頼することをお勧めします。